古舘寛治とgiftedたち

ゲスト:横浜聡子さん

ゲスト:横浜聡子さん

「“破綻”を乗り越えようとして頑張っている作品が好き」

公開日:2017.6.14

古舘寛治がgifted(才人)たちと語らう対談シリーズも、いよいよ最終回。8人目のゲストとして登場してくれたのは、映画監督の横浜聡子さんだ。『ジャーマン+雨』『ウルトラミラクルラブストーリー』『俳優 亀岡拓次』といった、生命感に満ちた作品づくりで知られる横浜さん。二人の言葉は、シリーズ最終回らしく、人がものをつくることに込める“願い”をめぐって紡がれていった。

古舘

この対談シリーズもいよいよ最終回となります。急いで立ち上げてオファーさせていただいた企画でもあったので、「誰もゲストに来てくれないんじゃないか」と不安がっていたら、みなさんご快諾いただいて。「俺、意外と人気者なんだな」と自信を深めました(笑)。

横浜

私もお呼びいただいて嬉しいです。古舘さん、人気者だと思いますよ(笑)。

古舘

いやいや、もちろん冗談なんですけれども(笑)、こちらこそありがとうございます。横浜さんは、いつかお仕事をご一緒したいと熱望している映画監督なんです。『ウルトラミラクルラブストーリー』(2009年)を観たときに、仰天したんですよ。映画という枠のなかでは既にいろんな表現がやられているし、作品の数も限りないなかで、「ああ、どこかで観たことあるな」という表現も多い。それは決して悪いことではないとも思うんですが、横浜さんのオリジナリティーには本当に驚いた。「なんだ、この世界観は!?」という。

横浜

ありがとうございます。私も山下敦弘監督の『松ヶ根乱射事件』(2006年)で初めて古舘さんを拝見したときに、「あ、この人は今までの日本映画界の俳優の文脈とまったく違う芝居をする」と思いました。ものすごく特殊な、自然なのに違和感もちゃんとある俳優さんだなと感じたんです。

古舘

むちゃくちゃ嬉しい! いつかお仕事したいと思いながら、まだ機会はないんですよね。

横浜

たしかに、お仕事はまだですね。先日放送が終わったテレビ東京のドラマ『バイプレイヤーズ』でニアミスはありましたが。私が第9話と第10話の監督で。

横浜聡子さん 画像

横浜聡子さん プロフィール

1978年、青森県生まれ。卒業制作の短編『ちえみちゃんとこっくんぱっちょ』が06年CO2オープンコンペ部門最優秀賞受賞。同年、初長編『ジャーマン+雨』を自主制作。翌07年、CO2シネアスト大阪市長賞を受賞、全国劇場公開を果たす。同年度日本映画監督協会新人賞を受賞。2008年『ウルトラミラクルラブストーリー』を監督、トロント国際映画祭他、多くの海外映画祭にて上映、国内でも受賞が相次ぐ。2016年に『俳優 亀岡拓次』公開。

古舘

そうそう、僕が第6話に出演して、という。プライベートでは、震災後から度々お会いしているんですよね。ある写真家の方の講演会に、この対談シリーズ第4回のゲストでもある深田晃司くん、そして横浜さんの3人で一緒に行ったんですよ。震災の数カ月後でしたよね。

横浜

そうでした、初対面はこまばアゴラ劇場で映画の上映があって、その後に深田監督、古舘さんと、ご飯を食べに行ったんですよね。それで今度、イベントがあるから行かないか、という話になって。

古舘

その前から横浜さんの作品は好きだったので、以来ずっとラブコールを送り続けている状況です(笑)。

横浜

私、作品数が本当少ないんで。2009年の『ウルトラミラクルラブストーリー』の次の長編が、昨年の『俳優 亀岡拓次』(2016年)ですから。なかなか撮らないので、ご一緒できるチャンスすらなくて……。

古舘

そこが本当に腑に落ちないんですよね。一時期はそんなに撮る気がないというか、撮れたら撮る、くらいなのかなと思っていたこともありました。

横浜

全然そんなことないですよ! オリジナル作品しか撮らないということもないですし、原作ありきでもドラマでもCMでも、お話をいただければウェルカムな人間なんです。なかなかタイミングが合わなかったこともあって……30代前半に場数を踏めなかったのが悔しいです。「横浜さんは変わった映画を撮る人だから」とよくいわれますが、そんな意識も全然ないんです。

古舘

これはいいことを聞けました、この対談読者の方には関係者の方もいるでしょうから、どんどんパプリックにしていきましょう! 大ファンの僕でさえそう感じているくらいだから、業界人も横浜さんはそうだろうっていう認識があるかもしれないです。「全然」だそうですよ、皆さん!

構成・文:宮田文久