古舘寛治とgiftedたち

ゲスト:大木綾子さん(フジテレビ)

ゲスト:大木綾子さん(フジテレビ)

「視聴率も大事だけど、何よりもターゲットに響くことを意識している」

公開日:2017.6.12

古舘寛治が今話したい才人(gifted)と語るシリーズ。今回のゲストは、古舘が父親役として出演した、『突然ですが、明日結婚します』プロデューサーの大木綾子さん。舞台からドラマのキャスティングをすることもあるほどの演劇好きでも知られている。今回、巷で話題となっている視聴率については避けるべきなのか……。対談が始まる直前まで悩んだ末に古舘が出した答えとは。

大木

「最低視聴率の山村です」みたいなMCを、阪井(一生)くんがひたすらいじって、「ダメダメ、今日は偉い人が来てるから」っていうのをお約束のようにやっていました。

古舘

僕ら俳優は、ポジションが違うので、「視聴率より、なにを作っているかが一番肝心でしょ」って、つい思っちゃうんですけど。プロデューサーは番組の責任者だから、そうは言えないですよね。でも正直に言うと、僕が子供の頃っておもしろいドラマがいっぱいあったけど、最近のテレビドラマはつまらない、という先入観もあるんです。大木さんの中では、「そんなことないよ」という気持ちはありますか?

大木

そんなことはない、と言いたいですね。おっしゃるように過去の名作は何度観ても素晴らしいけど、今の若い人が観てもおもしろいかどうかは、聞いてみないとわからない……。ただ、高校生のときに私がハマった作品というのは、その年代の感性に響いたという意味では、枠のターゲットとしてはドンピシャなわけですよね。『突然ですが、明日結婚します』に関しても、「結婚なんていいものじゃないわ!」ってわかってしまっている世代が楽しむにはハードルが高いのかなって。さきほどの『おとこたち』の歩くスピードじゃないですけど、枠の特性から自分が離れていることを意識してみると、内容がつまらないというよりも、「自分に向けて作られていないから、わからないのかもしれない」という視点が生まれるんです。 インターネットは批判が踊るメディアでもあるので、数字ばかりが取沙汰されるけれど、結婚を夢みている世代からは毎週楽しかったと言ってもらえたし、そのターゲット層に向けて志高く勝負をし続けているので……。そこは、視聴率という統計データだけでは計れないドラマ制作の難しい部分ではありますけどね。

古舘

役者の僕が言うのも変ですが、大木さんはマニアックなキャスティングで、当てる方程式を知っているんじゃないかなって思っているんですけど。

大木

知っているようで、これ来るぞ! と思ってやっても、なかなか数字に繋げていくのは難しいんですよね。ただ、みなさん同じだと思うんですけど、やっぱり芝居が下手な人がダメなので(笑)。そこは、こだわっています。

古舘

それを言われても、僕には答えようがないです……。

大木

今回の月9にしても、みなさん上手なので何度観ても飽きないんですよ。とくに高梨家の食卓のシーンは、「なんだろう、このパッケージ感」って思うくらい、いい家族が揃ったなと自負しています。自分でキャスティングしたので、手前味噌感がハンパないですけどね(笑)。

古舘

それはうれしいですね。

大木

『淵に立つ』でも、古舘さんの演技はバケモノですよね。マネージャーさんから「元気な時に観てください。元気がない時に観るとダメージが大きいですよ」って言われていたんですけど、本当にその通りでした。「今日は元気だな」と思って明るいうちから観たんですけど、表情のない中の怖さとか、中盤以降からズシーンときて……。

古舘

むちゃくちゃうれしいです! もう、どこを見たらいいのかわからない。

構成・文:金井悟
写真:高野由香里