古舘寛治とgiftedたち

ゲスト:キムラ緑子さん

ゲスト:キムラ緑子さん

「古舘さん、どうしてそんな芝居になったの?」

公開日:2017.6.4

古舘寛治が今話したい才人(gifted)と語るシリーズ第二弾のゲストは、長年舞台に映画にと八面六臂の活躍を続け、近年も新たに脚光を浴びているキムラ緑子さん。古舘とはNHKの朝の連続テレビ小説『ごちそうさん』で共演し、昨年は古舘がキムラさんのパートナーであるマキノノゾミさんの戯曲を演出した、という縁を持つ。しかし、シリーズのホストとして張り切る古舘に対し、キムラさんが矢継ぎ早に鋭い質問を繰り出して、古舘がたじたじに……!?

緑子

ねえねえ、どうしてそんな芝居になったの?

古舘

な、何ですかいきなり!?

緑子

だって、『ごちそうさん』(2013年~2014年)で共演してから、ずっと古舘さんの演技が気になっているから! あれからもう約4年経っているんですよね。

古舘

杏さんが演じる卯野め以子が、東出昌大さんが演じる西門悠太郎と結婚するわけですが、悠太郎のいけずなお姉さん役が緑子さんで。

緑子

そして古舘さんがその恋人であり、私をだます詐欺師の役だった(笑)。

キムラ緑子さん

キムラ緑子さん プロフィール

1961年10月15日、兵庫県淡路島生まれ。劇団M.O.P.の旗揚げから、2010年の劇団解散まで看板女優を務めた。劇団所属時から外部での活動も多く、その後も舞台テレビ、映画に幅広く活躍。2013年に、NHK朝ドラ「ごちそうさん」でヒロインのいけずな小姑役で注目を集める。今年8月新橋演舞場、9月大阪松竹座で上演されるミュージカル『にんじん』に出演する。

古舘

緑子さんはレギュラーでずっと出ていらしたんですが、僕はポイントでの出演で……僕はピンポイント俳優なので(笑)。

緑子

それでもけっこう長く出ていらした記憶があるのだけれど、仮にピンポイントだったとしても、セリフ一言で存在感を“残す”じゃないですか。何か物を飲むだけだって、「ん……」とか「ああ……」とか、必ず何か挟んでくるでしょう?(笑) その記憶に残る演技って、本当にすごいと思うんですよ。俳優は出番の数じゃないんだと思わされるというか、一言でも二言でもしっかり印象づけていかれるじゃないですか。あれはどうやっているの?

古舘

そんなにわざと何か演技しているつもりはないですし、この対談のホストは僕なんです!(笑) 緑子さん相手だとこうなるかなと薄々は予感していましたけど、なんだかスムーズにいかないな……。

緑子

いいじゃないですか、聞きたいんですもの(笑)。真面目な話、今日の私の目的として、あの演技のことをちゃんと学んで帰りたいと思っているんです。

古舘

なんだか暑くなってきちゃいました……(と言いながら、あたふたとセーターを脱ぐ)。でも本当に、自然に演技しているつもりなんです。僕としては「ゆだねている」という感じなんですね。もちろんセリフを覚えるという準備はしますし、自分が演じる人間がそのシーンで何を感じているのか、何をしようとしているのかということは考えます。ただ、イメージだけは持つのですが、あとはその場で起きることにゆだねようとする。だから、緑子さんに翻弄されている今の状況のように(笑)、僕は演技するときに「ゆだねている」んです。

緑子

なるほど、その状況に「ゆだねた」結果として、ナチュラルなようで強く印象に残る演技になっているわけなんですね……。

古舘

自分としてはナチュラルにやっているつもりなんですが……(笑)。

構成・文:宮田文久
写真:高野由香里