古舘寛治とgiftedたち

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ゲスト:夏帆さん

「お芝居は分からないことだらけ。でも楽しさが分かってきた」

公開日:2017.6.2

古舘寛治が、いまもっとも注目して、話を聞いてみたいと考える才人(gifted)たちと語る連載シリーズ。
その記念すべき第一弾は、女優として華々しい活躍を続ける夏帆さんがゲスト。
25歳と49歳、ふたまわりも年齢が離れた“異世代対談”は、二人の対照的な、しかし共に実直な生き方が交差する、心温まるものになった。

古舘

本当は誰かが「こんなのおかしいよ!」って声をあげればいいんだと思うんですが、どうしても日本では、和を乱さないという精神が身に染みついてしまっていて、意見を言うと「ワガママを言っている」と思われがちですもんね……。『天然コケッコー』はその意味でも理想的な現場だったはずですが、夏帆さんはもうその時にお芝居も好きになったんですか?

夏帆

分からないことばかりだったお芝居を楽しめるようになってきたのは、本当に最近のことかもしれません。高校を卒業してこの道一本に絞る覚悟を決めて、ふわふわとしていた状態から、ひとつひとつのお仕事への責任感も変わっていって……。10代の頃は言われた仕事をやっていただけだったんですが、20代からは事務所と相談して、もっと能動的に自分でやりたい仕事を選ぶようになったことも大きいですね。私に限らず、誰でもやりたい仕事とやらなければいけない仕事というのはあると思うんですが、やりたい仕事を増やせていけるようになりました。昨年で4本目の舞台も経験させていただいて、少しずつお芝居の楽しさが分かってきているのかも。

古舘

お芝居を誰にも教わらないから分からないことが多かった、というお話は、もしかしたら日本の俳優ならではの環境なのかもしれません。僕は20代の頃、ニューヨークのHB STUDIOで演技を学んだんですが、日本では一部を除いて、そうした教育はシステム化されていないですから……。

夏帆

21歳で初めて舞台も経験させていただいて、一歩一歩お芝居を学んできて、先ほどお伝えしたようにサンプルの舞台を拝見した時は、本当にビックリしたんです。まず、声を全然張らないじゃないですか。大きな身振り手振り以外にも、いろんなタイプのお芝居があることに衝撃を受けたんです。

古舘

それは嬉しいです、ありがとうございます。

夏帆

すごく自然というか……その世界の“日常”を覗き見している気分になったんですよね。自分もまるでその世界にいるような感覚を抱いて、本当に面白かったです。

古舘

今おっしゃってくださったような、まさにそこで起きている世界を覗き見るようなフィクションをつくっていきたいと僕は思っています。そのためにも、予算の話も先ほど出ましたが、大変な状況にあってみんな頑張っているなかで僕も俳優として、自分からいろいろと企画段階から始めていくようなことができないだろうか、と思っていて。

夏帆

いいですね、私もこんな人やあんな人と仕事をしてみたい、と思うことはたくさんあります。

古舘

今回の対談シリーズもその一環で、夏帆さんのようにゲストとしてお呼びしている皆さんとは、これからも一緒に何かできたらいいなと考えているんですね。

夏帆

楽しそうですね! 自分で企画を考えて、作品だったらキャスティングもして。

古舘

10年以上のキャリアを積み重ねていらっしゃるわけだから、夏帆さんもそろそろ、いろんな人を集められるくらいの発言力はあるんじゃないでしょうか。

夏帆 画像

夏帆

いやいやそんな……。私は、やってみたいとは思いますけど、まだまだそんな実力はないので……。

古舘

そんなことないですよ! 夏帆さんが何かやりたいって言ったら、集まる人はたくさんいると思いますよ。

夏帆

面白いと思ってもらえるでしょうか……?

古舘

もちろん! まあこうやってハッパをかけている僕も、49歳のこの年齢になってからようやくやり始めようとしているところなんで、偉そうなことはまったく言えないんですが。

夏帆

でも、なにか企画をイチから、いやゼロからつくるということには興味があります。きっと楽しいでしょうから。そのためにも私は、まだ25歳ですから、もっともっとこの仕事を続けて、自分を鍛えていきたいと思います!

古舘

ぜひ! 楽しみにしています。

構成・文:宮田文久
写真:高野由香里